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第26回臨床研究会

【特別講演1】

「柔道整復師と医療過誤」
  明治学院大学法学部 講師    降 矢 順 子  先生

1.医療過誤から生ずる責任には次のものがある。
  刑事責任(業務上過失)
  民事責任(損害賠償責任)
  行政責任(免許の取消、停止)

2.民事責任の問われ方には二通りある。
 債務不履行(契約違反)によるもの。患者とは委任契約で結ばれている。治療を引き受けた限りは、「善良な管理者としての注意義務」を全うしなければならない。これに違反した場合(過失)、契約違反として損害賠償の対象となる。
 民法の不法行為によるもの。不法行為が成立するには、①行為に故意・過失があること ②損害が発生したこと ③行為と損害との間に因果関係があること ④行為者に責任能力があることの用件が揃わなければならない。なお、過失とは、結果の発生を知りうべきであったのに、漫然と注意を怠り、悪しき結果を認識せず、また回避しなかったことをいう。
損害は金銭賠償に限られ、積極的損害の他に、逸失利益、精神的損害(慰謝料)も含まれる。

3.被害者救済への方向
 本来、訴えを起こす側が、相手方の過失を立証するのだが、専門知識のない患者には酷なケースが多い。そこで最近では、医療行為と被害との間に一定の因果関係があれば、補償が受けられるようになった。逆に医療関係者の方が、自らの無過失を立証しなければならないという困難な立場に立たされている(挙証責任の転換)。これは、使用者責任制度から、過失を犯した本人ではなく、雇用主(病院、柔整院)が責任を負うことが多く、ほとんどが保険でカバーされるという事情からであろう。

4.その他注意すべき点
 最近、自己決定権と呼ばれる新しい人権の問題が発生している。患者が治療方法を自ら選び、医療関係者はそれを守らなければならないという傾向にある。患者のために良かれと思ってした行為も、同意がなかったことで訴えられ、敗訴したケースもある(最判、同意のない輸血事件)。

5.柔道整復師の場合
 治療行為そのものから生ずる過失と、それ以外のものがある。詳しくは別紙にて。

降矢 順子 先生のご経歴

昭和55年  上智大学大学院法律学研究科博士課程修了
昭和58年  税務大学非常勤講師
昭和62年  明治学院大学法学部非常勤講師
昭和63年  玉川大学経済学部非常勤講師
昭和64年  戸板女子短期大学非常勤講師
平成 5年  帝京柔整専門学校非常勤講師

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